覚え書きになります。
情報として参考にできる方もいらっしゃるかもしれませんので公開しておきます。
症状
尾鰭の先端や胸鰭の全体が白濁する症状で感染している個体は尾鰭を細かく上下に振る動作が観察された。
進行すると体側の粘膜が大きく剥がれ二次感染を起こす場合がある。
胸鰭の当たる体側に胸鰭の形で症状が伝播しており、主に接触により伝播している様子が観察された。
飼育水を通しての感染もあり、伝染性は大きい。
放置した場合でも自然治癒する場合がある。
効果の得られなかった対処法
1.ニフルスチレン酸ナトリウムによる永久浴
2.マラカイトグリーンによる永久浴
3.酢酸による短時間浴(GH3 PH3.5の10分間)
4.0.6%塩化ナトリウムによる永久浴(改善よりも悪化の場合が多い)
5.昇温32℃
6.プラジカンテルによる薬浴。
一定の効果が得られる場合があった方法
1.水100リットルに対しホルマリン4mlの反復。
2.フマル酸水溶液による短時間浴(GH3 PH3程度 10分間)
今回の対処法
5月10日(金)症状を確認の後飼育水を100%排水し、フィルターを飼育水で洗浄。
水槽にRO水20リットルを注水。
水槽に水道水80リットルを注水。
ポリ塩化アルミニウム1ml添加。(アオコ除去)
粗びき天日塩400g及び人工海水200gを投入。(粗びき天日塩が足りなくなったため人工海水で補完)
水道水500mlに硫酸銅五水和物10gを溶かしたものを2ml水槽に添加。
10時間後5月11日(土)午前に上記の硫酸銅水溶液を1ml添加(減耗を加味して追加)とともに冷凍赤虫を給餌。摂餌に異常は無し。
4時間後に観察した際に鰭の白濁の面積が縮小している個体を確認。
10時間後に硫酸銅水溶液を2ml追加。添加前の時点で水の透明度が極端に上がっている。
6時間後に硫酸銅水溶液1ml追加。
7時間後5月12日(日)午前9時の時点、鰭の白濁は進行も衰退もせずあまり変化は見られない。
塩分濃度を屈折計で測定0.4‰。
塩が吸水し濃度が変わった模様。補完を検討。
5月12日(日)11:59人工海水200g追加。硫酸銅水溶液追加。
5月14日(火)3:00 硫酸銅水溶液 3ml追加。
5月14日(火)15:00孤立していた1匹が死亡。
銅イオン濃度が原因と見てRO水で50%替水。
5月15日(水)0:26症状は変わらず原虫性ではないと見て抗菌剤への変更を検討。
5月15日(水)昼間は赤虫の給餌のみ。
5月16日(木)10:20複数の個体で鰭の曇りが改善。
5月17日(金)給餌のみ。昨日より改善傾向。
5月18日(土)10:00 やや曇りの残る個体がいるものの殆ど改善した模様。
結果
1.抗菌剤は用いずに改善。
2.硫酸銅使用翌日の検鏡で400倍では原虫は確認できず。この時点で僅かながら改善が見られるがその後小康状態。
3.RO水での替水で最終的な改善が見られた。
4.顕微鏡で鰭の切片を観察した際に1000倍程度で激しい運動性のある微生物を多数観察。
考察
症状の原因はなにかしらの原虫の感染症若しくは硬度依存的な細菌性の感染症。或いは原虫の感染症からの二次感染にのる細菌感染。
結果的に1匹死亡した個体は硫酸銅の過剰添加に依るものと見られる。
次回は症状発生時に硬度低下のみで対処し経過を観察する。